伝統と新しい形

青山には、最新鋭のデザインが集まり旬のカフェが並んでいます。
そのため、青山といえば、お洒落で素敵な人たちが集まるハイセンスな街という印象があるかもしれません。
しかしかつて明治神宮までの参道であった表参道や、犬養毅や忠犬ハチ公、大久保利通らのお墓がある青山霊園などを見てもわかるように、元来青山は、歴史のある街でもあるのです。

樹齢約90年という高齢な、戦火を逃れた銀杏がある表参道ヒルズ。
いまや表参道の代表的な建築物の一つとなったこの建物は、大正時代に設立された同潤会青山アパーメントの再開発プロジェクトで生まれました。
ひとたびこの建物に足を踏み入れると、これまで見たことないような新しい建築構造に驚かされます。
くるくると、回廊状にお店が立ち並び、中央の空間は吹き抜けになっています。
そして、廊下をまっすぐ歩いていくと、この建物にあるすべてのお店を見られる構造をしているのです。

さて、この斬新な建築スタイルを持っている表参道ヒルズを一番上まで歩いてみると、そこには、R style by 両口屋是清(アールスタイルバイリョウググチヤコレキヨ)というお茶所があります。
両口屋是清という名は、ご存知の方も多いと思うのですが、創業380年あまりになる名古屋にある御菓子処です。
この歴史ある伝統的な和菓子屋が、新しい時代に新しいお茶の楽しみ方を提供してくれる場所を用意してくれました。
それがこのアールスタイルというカフェなのです。

アールスタイルのメニューには、お茶やお茶菓子などが並ぶのですが、そのどれもが和菓子をカフェ風に新しくアレンジしたお洒落で素敵なものばかり。
初めて日本茶を楽しもうとする初心者でも、楽しく和菓子やお茶の世界に入ることができます。
もちろん往年のお茶ファンの人々でも、新しく練り直されているカフェ風の和菓子メニューを見れば、伝統が新しい時代の扉を叩こうとしている様を感じられることでしょう。
歴史を持つ街が常に新陳代謝を繰り返し、新しい街で居続ける。
そんな表参道のあり方が、一杯の日本茶に映し出されています。